機械設計に使うならコレ!フリーの2D CAD 3選

個人でモノづくりを楽しみたい、機械製図の勉強をしたいというときには自宅にもCADComputer-Aided Design)が欲しくなるかと思います。

しかし、市販されているようなCADソフトは数十万~数百万円することもあり、なかなか個人では手が出ません。

そこで今回は、個人でも使うことができるフリーの2D CADソフトを紹介します。

2D CADソフト 3選

厳選!無料の2D CAD 3選

無料で使える2D CADはいくつかありますが、結論から入ると機能や使いやすさを考えるとSiemens社が提供している「Solid Edge 2D Drafting」一択です。

昔ながらの操作感の2D CADが好みであれば「鍋CAD」もおすすめですが、近年のアプリで主流なリボンGUI(グラフィカルな操作画面)を採用しており、少しでもCADを使用したことがあれば誰でも使用できるようになっています。

ソフト名Solid Edge 2D Drafting鍋CAD フリー版Jw_cad
イメージ図
初心者向け
特徴巨大企業Siemensが開発した高い操作性を持つ機械系CAD30年の歳月を経て熟成された機械系汎用2D CAD定番の汎用2D CAD
建築分野で多く使用され、書籍も豊富
開発元SiemensNabeTech清水 治郎 氏
田中 善文 氏
公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト
対応ファイル形式*.iges, *.igs, *.dwg, *.dxf, *.dft, *.sev*.dg8*.dxf, *.jww, *.jwc, *.sfc, *.p21
言語日本語日本語日本語
Table 1 無料の2D CAD 比較表

高機能で使いやすい2D CAD「Solid Edge 2D Drafting」

Solid EdgeはドイツのSiemens社からリリースされている高機能3D CADです。

「Solid Edge 2D Drafting」は、そのSolid Edgeのドラフティング環境(2D CAD)を切り出して、無料で配布されているものです。

アカウント登録は必要となりますが、2Dの基本的な作図機能や編集機能は有しており、有料のSolid Edge(3D CAD)のバージョンアップに合わせて、無料のSolid Edge 2D Drafting(2D CAD)がバージョーンアップされるので、今後継続してリリースされていくことが予測されます。

Fig. 1 Solid Edge 2D Drafting
  1. 完全無料&機能制限なし
    Solid Edge 2D Draftingは、完全無料で2D CADとしての機能の制限はありません。
    無料ソフトだと、使える機能や使用期間などに制限がかけれていたり、ソフトとしての完成度が低いものもありますが、Solid Edge 2D Draftingはそのようなことはありません。
  2. ソフトの完成度が高い
    大手のSiemens社からリリースされておりCADとしての完成度、使いやすさはピカイチです。
    そのため、Solid Edgeは多くの企業の設計現場で使用されています。

    また、Solid Edge 2D Draftingは国際標準化機構 (ISO)、米国国家規格協会 (ANSI)、英国規格協会 (BSI) などの製図規格に自動的に準拠するシンプルな図面レイアウト、作図、図表作成、寸法記入のコントロールが提供されています。 
  3. 学習難易度が低い
    新規のCADユーザーと既存のCADユーザーの両方の学習難易度を下げるために、分かりやすいリボンGUI、シンプルなテキスト検索、気に入りのツールにすばやくアクセスできるカスタマイズ可能なラジアルメニューなど、コマンドにアクセスするためのさまざまな方法が提供されています。
  4. 一般的なファイルフォーマットに対応
    無料でありながら、*.iges, *.igs, *.dwg, *.dxfなど一般的なファイルフォーマットに対応しており、他の2D CADとのデータのやり取りもスムーズです。

Solid Edge 2D Draftingのインストール手順

アカウントの登録

Solid Edge 2D Draftingをダウンロードするためには、Seimens社のアカウントを持っていない場合は作成する必要があります。

以下のリンクからSeimens社のWebページに飛び、画面右側の「Create Siemens account」をクリックします。

https://resources.sw.siemens.com/ja-JP/download-free-2d-cad-software

Fig. 2 アカウントの登録

個人情報を入力し、「アカウントの登録」ボタンをクリックします。

Fig. 3 アカウントの登録(入力画面)

Solid Edge 2D Draftingをダウンロード

アカウントの登録が終わったら最初のページに戻り、「Log in to Siemens」をクリックします。

Fig. 4 ログイン

先ほど登録した電子メールアドレスとパスワードを入力し、「サインイン」ボタンをクリックします。

Fig. 5 サインイン

会社名住所を入力し、ソフトウェアライセンス契約のチェックボックスにチェックを入れ、「このダウンロード にアクセスする」をクリックします。

Fig. 6 ソフトウェアのダウンロード

再度、「このダウンロード にアクセスする」のボタンが出るのでクリックすると、ダウンロードが開始されます。

Solid Edge 2D Draftingをインストール

ダウンロードされたファイルをクリックし、インストローラーを起動します。

Fig. 7 ダウンロードされたインストローラー

あとは画面の指示に従い、インストールすれば使用できるようになります。

Fig. 8 インストローラー起動画面

操作の学習の仕方

Solid Edge 2D Draftingは直感的で分かりやすいユーザーインターフェース(UI)を搭載しているため、初めて触る方でもすぐに使えるようになるCADです。

トレーニング用のサンプルファイルは以下のフォルダに保存されていますので、そちらを見ながら学習するとよいかと思います。

サンプルファイル保存先(デフォルト)

拡張子が「dft」のファイルを選ぶと2D図面のデータを見ることができます。

C:\Program Files\Siemens\Solid Edge 2023\Training

Fig. 9 サンプルファイルを開いたところ

まとめ

Solid Edge 2D Draftingは直感的で分かりやすく、初心者にも易しいCADです。

しかし、図面を書くこと自体が初めての方は、線の引き方など製図の知識の勉強は必要となります。

図面はどの国の人が読んでも理解できるようにISO(国際標準化機構)でルール化されています。

このISOのルール(規格)を日本語化したものがJIS(日本産業規格)に載せられているので、通常はそちらを見るとよいかと思います。(JISの規格を閲覧するには別途登録が必要)

Fig. 10 JIS検索画面

製図に関するJISで代表的なものは以下となりますので、別途見てみてください。

  • JIS B 0001
    機械製図
  • JIS B 0021
    製品の幾何特性仕様(GPS)-幾何公差表示方式-形状,姿勢,位置及び振れの公差表示方式
  • JIS B 0022
    幾何公差のためのデータム
  • JIS B 0023
    製図-幾何公差表示方式-最大実体公差方式及び最小実体公差方式
  • JIS B 0024
    製品の幾何特性仕様(GPS)-基本原則-GPS指示に関わる概念,原則及び規則

なお、全くの初めてであれば製図のルールを解説した書籍にて勉強したほうが早道かも知れません。

初心者の方にも分かりやすいおすすめの書籍を記載しますので、一度、手にとって読んでみてはいかがでしょうか。

特に山田 学さん著の「図面って、どない描くねん!」はシリーズ化されており、書店でもよく見る定番的な書籍です。