潤滑油の粘度(Viscosity)は温度が上昇すると減少しますが、軸受などを設計する際にその特性を知りたいときがあります。
本記事では、カタログなどから2点以上の異なる温度の粘度が分かる場合に粘度データを補間する方法について紹介します。
粘度と温度の関係式
液体の粘度と温度の関係については、理論式や実験式が多く提案されています。
その一例をTable 1に示します。
提案者 | 関係式 |
---|---|
ANDRADE | \(\eta = A \exp \left( \frac{B}{T} \right) \tag{1}\) |
VOGEL | \(\eta = A \exp \left( \frac{B}{T-C} \right) \tag{2}\) |
WALTHER – ATSM D 341-77 | \(\log \, \log \left( \nu + 0.7 \right) = A – B \log T \tag{3}\) |
ここで、\(\eta\)は粘度、\(\nu\)は動粘度\(({mm}^2/s)\)、\(T\)は温度\((K)\)、\(A, \, B, \, C\)は潤滑油ごとに決まる定数となります。
この中で鉱物油、炭化水素油に最も使われているのは式(3)であり、\(2.00 \, ~ \, 2 \times 10^7 \, {mm}^3/s\)の範囲で適用されます。
また、動粘度と温度の関係が直線で示されるASTM 粘度 – 温度図表(Fig. 1)を用いれば、任意の温度での動粘度を簡単に求めることができます。
ただし、ATSM 粘度-温度図表で直線性が得られるのは、潤滑油のくもり点温度付近から初留点付近までの温度範囲となります。
- くもり点温度
ガラス容器に入れ、定められた方法で冷却していったときにくもり始める温度。 - 初留点
凝縮管の下端から留出液の最初の 1 滴が落下したときの温度。
まとめ
本記事では任意の温度での粘度を知りたい際に、手持ちのデータから補間する方法について解説しました。
軸受などの設計では、粘度のほかに接触部の面圧を計算したい場合があります。
そのようなときは以下の記事で紹介している方法がよく使用されます。
また、軸受を固定する際に圧入が行われる場合もありますが、その場合は以下の記事が参考になるかと思います。