こんにちは、カヲルです。
本記事は経済産業省が令和3年3月に公開した「自動車開発におけるプラントモデル I/F ガイドライン(ver.4.0)」を要約し、補足したものとなります。
このガイドラインの位置づけとしてはガイドラインの中で下記のように書かれています。
本ガイドラインは、自動車開発における自動車メーカーとサプライヤおよび自動車産業クラスターの各階層間でのモデルベースの利用にあたり、国内デファクトスタンダードとしてインターフェースを統一することで、自動車産業内でのモデル流通の拡大 、モデルベースによる擦り合わせの質の向上 、モデルベース開発における人材育成などを目的としてい る 。
また、本ガイドラインに準拠する車両モデルを提供することで、本目的がより促進されることを期待するものである。
自動車開発におけるプラントモデル I/F ガイドライン(ver.4.0)
自動車メーカー(OEM)とサプライヤとのモデル流通を前提としたガイドラインだけど、一つの企業内でも部署をまたがる場合は有用なガイドラインになるよ。
ガイドラインの目的
モデルの種類
モデルの種類としては大きく分けて2つあります。制御対象(機器)をコントロールするものを制御モデルと言い、その制御対象をプラントモデルと言います。
本ガイドラインはプラントモデルが対象になるよ。
ガイドラインの目的
プラントモデルの接続にて作成者が違うとモデル同士がつながらないことがあります。
本ガイドラインはこのようなことを防止することを目的としています。
接続のたびに相手に合わせてモデル修正、もしくは接続用のインターフェイスとなるブロック(サブシステム)を作っていたら大変だからガイドラインは重要だね。
ガイドラインの基本原則
変数のタイプ
プラントモデル間を接続する変数のタイプは2種類があります。
スルー変数(通過変数)
・モデル上の接点に流れ込む量の総和が0となる変数。
(キルヒホッフの第一法則(電流則)を満たす変数)
・ある点を通過する電流、流量、作用する力などが相当する。
アクロス変数(横断変数)
・モデル上の任意の閉路に沿って積算した総和が 0 となる変数。
(キルヒホッフの第二法則(電圧則)を満たす変数)
・2点間の電位差、圧力差、相対速度など2点間の差
(ポテンシャル)として定義される量が相当する。
スルー変数とアクロス変数の具体例は下のようになるよ。
エネルギーソース・エネルギーシンク
機器の動作はエネルギーを生み出したり、貯めたり、消費したりする性能を定義することができます。
エネルギーの蓄積
モデルにはスルー量、アクロス量を蓄積する要素とそれ以外があります。
表の上段がスルー変数を受け取ってアクロス変数を出力するもの、下段がアクロス変数を受け取ってスルー変数を出力するものだよ。
プラントモデル I/F ガイドラインの基本原則
プラントモデル間の接続における基本原則は下表のようにガイドラインにて設定されています。
ガイドラインを適用した自動車を例を下に示すよ。
サブシステム I/F (インターフェース) 定義書
サブシステムI/F定義書の活用
モデルの流通を行うときには、サブシステムI/F定義書を用いるとスムーズにやりとりすることができます。
また、ガイドラインには記載はありませんが、サブシステムを作成する際の仕様書としても用いることができます。その場合は内部のアルゴリズムも記載するとよいでしょう。
サブシステムI/F定義書のフォーマット
前記のフライホイールの例を記載します。