本記事は、固有値解析(FEM)実施時の注意点をコラムとしてまとめたものです。
構造解析ソフトにて固有値解析を行って計算した値と振動試験機などを使って実験で求めた固有振動数(共振周波数)が異なるという経験はないでしょうか。
治具や装置の共振、フィードバックポイントの見直しなど正しく実験できていることも確認する必要がありますが、固有値解析を実施したときのモデルも見直しが必要となる場合もあります。
- 境界条件の見直し
- 加速度センサのモデル化(質量合わせ)
上記ふたつを順番に見ていきましょう。
境界条件の見直し
固有値解析の場合はメッシュサイズには敏感でないことが多いですが、境界条件は適切に設定する必要があります。
よくある間違いは、ねじで締結された部品同士の当接面を完全に固定(接合)してしまうことです。
Fig. 1に示すとおり、ねじの軸力によってねじの頭の下は食い込むように変形し(軸方向に縮み)、その反力で部品が数μmオーダーで浮き上がり(反り)が発生します。
そのため、部品同士の固定(接合)はねじの頭の下やボルト部の直下のみにする必要があります。
ねじの軸力の作用・反作用をイメージしながら境界条件を設定してね!
加速度センサのモデル化
実験では検討の対象となる部品の固有振動数を測定するために、加速度センサ(Gセンサー)を取り付けます。
小型の部品に質量の大きい3軸の加速度センサなどを取り付けた場合は、それだけでかなり固有振動数がずれます。
固有値解析にて3Dモデルを作成する際は、必ず加速度センサもモデル化し質量を合わせるようにしましょう。
質量が大きくなると固有振動数は低くなるよ。
最後に
今回は固有値解析実施時の注意点について解説しました。
しかし、深い理解には書籍での勉強が一番早道です。参考までに構造解析に役立つ本を紹介します。
NV(音・振動)の課題を解決したい場合、振動を発生する機器と基礎となる構造物との間に防振ゴムを入れることで解決する場合もあります。
防振ゴムの設計方法については以下記事を参考にしてみてください。
また、ポンプなどの流体機器は排気脈動が発生し、騒音が問題となる場合があります。
サイレンサ(消音器)の設計方法については以下の記事を参考にしてみてください。